( 322166 )  2025/09/06 06:07:31  
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大阪市の「花博通」では、路上駐車をする大型トラックが問題となっている。

警察は定期的に取り締まりを行っているが、ドライバーたちは駐車場がないため仕方なく路上に停めていると訴えている。

この状況は、荷待ちのためにやむを得ず路上駐車を選ぶドライバーたちの不満が根底にあり、年間615件の事故が発生しており、そのうち13件は死亡事故となっている。

専門家は、大都会の周囲で同様の問題が広がっていると指摘。

ドライバーは休憩のための法律(430休憩)を守るために、ますます駐車スペースを確保するのが難しくなっていると述べている。

法律が厳しくなったことで、運転業務がより難しくなったとの声も上がっている。

(要約)

( 322168 )  2025/09/06 06:07:31  
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危険…道路占拠 大型トラックの路上駐車「とめたくても場所がない」運転手たちの悲鳴 

 

 大阪市の駐車禁止の道路で、路上駐車をする数十台のトラックが問題となっている。警察が定期的に取り締まりを行っているが、トラックのドライバーを取材すると路上駐車が後を絶たない深刻な事態が見えてきた。 

 

 多くのトラックが連なり路上駐車をしているのは、大阪市にある通称「花博通」。 

 

 この場所は駐車禁止だが、警察によると、多い時には1キロにわたって40台ほどのトラックが並んでいるという。 

 

近隣住民 

「邪魔は邪魔だよね。普段通れるところが通れなくなっちゃうから」  

「危ないんじゃないかな。大きいから駐車場から出る時も見にくいですよね」  

 

 路上駐車するトラックと走行する車の間を自転車が走行。とても危険な状況だ。 

 

 こうした駐車車両による事故の発生も後を絶たない。 

 

 警察庁によると、去年、駐車車両に衝突した事故は全国で615件、うち13件は死亡事故となっている。 

 

 午後11時、定点カメラで見てみると、路上駐車するトラックは1台のみ。しかし翌朝には、夜は1台だったトラックが朝には6台に。その後さらに台数は増え、7時には12台に。路上駐車するトラックで1車線が潰れ、残り2車線を多くの車が走っていく。 

 

 その後も入れ替わり立ち代わり、路上駐車するトラックが後を絶たない。この1分後、別のトラックが前に入り、そのうえ信号に近い位置に駐車したかと思うと…さらに別のトラックが現れ、信号機手前のギリギリの位置に強引に駐車した。 

 

 この日は朝から昼過ぎまでで、のべ100台以上の路上駐車が確認された。なぜこの場所に路上駐車するのか?ドライバーを直撃すると、このような声が聞かれた。 

 

「(Q.ここ駐車禁止だが、なぜとめる?)しゃーないやん、そんなん。それやったら国が駐車場つくれっていう話や。大型専用の駐車場をもっと全国につくったらええんちゃう」 

「分かってます。分かるのは分かっています。仕方ないじゃないですか」 

「ここぐらいしか、とめる所がない」 

 

 後を絶たないトラックの路上駐車に、警察も定期的に取り締まりを行っている。 

 

警察官 

「おはようございます。ここでとめて休憩されるのも違反になるんですよ」 

「1万2000円の違反となります」 

 

 違反しているトラックに対し反則切符を交付。ドライバーへの反則金は1万2000円だ。 

 

警察官 

「道路上でとめて寝るのは良い行為ではないので」 

 

ドライバー 

「それは分かってるけど、眠たくなった」 

 

警察官 

「きょうはいつから?」 

 

ドライバー 

「6時前か5時すぎ」 

 

警察官 

「何時からなんです?お仕事」 

 

ドライバー 

「8時半」 

 

 この日の取り締まりでは、およそ20台のトラックに警告が出され、うち4台のドライバーが摘発。1万2000円の反則切符を交付されたドライバーは「痛いね」と話す。 

 

 

 こうした取り締まりは度々行われているのだが、路上駐車は後を絶たない。そこにはある理由があった。 

 

ドライバー 

「(Q.今はどういう状況?)今時間まで待っている。積み待ち」 

「(搬送先が)何時に来てくれと言うわけやから、その時間に合わせていく。朝仕事をしました『次は13時に来てください』。その間何するん?どこにとまるの?でしょ?」 

 

 多くのドライバーの目的は「荷待ち」。工場や倉庫などで荷物を受け取ったり、搬送先に荷物を下ろす順番を待っているのだという。 

 

ドライバー 

「降ろすほうの業者も業者。大型を呼ぶなら、大型がとまれるスペースを用意するとかしてくれないと」 

 

 ドライバーは指定された時間に遅れないよう早めに到着するが、出荷元や搬送先には駐車する場所がないことも多い。そのため車線が多い道路でやむなく路上駐車をしているという。 

 

ドライバー 

「(Q.有料パーキングだと厳しい?)お金、お金が会社から出ない」 

 

 このドライバーは駐車場にとめても、その経費を支払ってもらえないという。 

 

 専門家は、こうした大型トラックの路上駐車は全国の大都市圏に広がっていると指摘する。 

 

流通経済大学 矢野裕児教授 

「(出荷元や搬送先が)近くに車両が待機するのを非常に嫌がる。周辺住民がアイドリングに対して苦情を入れることもあり、中にも入れないということで、どうしても幹線道路などの近くのとまりやすいところに大量の貨物車がとまる。これは全国的にあるが、(大型トラックの)路上駐停車は大都市圏で発生している可能性が高い」 

 

 口々に「仕方なく路上駐車している」と、不満を漏らすトラックドライバーたち。実際に、どんなことが起こっているのか?大型トラックの運行に密着した。 

 

 大型ドライバー歴3年の森川希さん(25)。運転するのは10トンの大型トラックだ。 

 

森川さん 

「名古屋に行きます」 

 

 今回運ぶのは通販の商品。夜10時45分、東京で荷物を積み名古屋を目指して出発した。 

 

森川さん 

「大型トラックは乗り始めてちょうど3年くらいです。大きい乗り物に乗って運転するのがすごく好きで、色んな所、普段じゃあまり行けないような遠い所に行かせてもらえているので、すごい充実感はあります」 

 

 そう語る森川さんだが、運転開始から45分。さっそく…。 

 

森川さん 

「サービスエリアで1回中を見てみて、とめられそうだったら」 

 

 まだ走り始めて間もないが、休憩のためパーキングエリアへ。しかし…。 

 

森川さん 

「結構、混んでいますね。いっぱいでとめられないかもしれない」 

 

 大型車の駐車スペースはほとんど満杯。なかには…。 

 

森川さん 

「白線内にとめられないトラックが、この枠外にとめて無理やり休憩を取ったりとか。空いているところがあったら、トラックで埋まっちゃっているので、なかなかとめたい所でとめられない。ちょっと、ここはとめにくいので、次にまわります。ちょっと次ですね」 

 

 駐車する場所がないため、しかたなく次のサービスエリアを目指すことに。それにしても、なぜこんなに早くパーキングエリアに立ち寄ったのか?聞いてみると意外な理由があった。 

 

森川さん 

「今みたいな感じで、とめようと思った時にとめられないことがけっこうあるので、早めにとめられる所を狙って休憩を取れるところで取っておく。4時間運転する時に、30分は休憩しないといけない。『430』をとるための旅が始まる」 

 

 「430(ヨンサンマル)休憩」。トラックドライバーの長時間労働を改善するために定められた規則で、4時間運転するごとに30分以上の休憩をとるという決まり。 

 

 ドライバーの健康を守るための規則だが、逆に悩みを増やす面もあるという。 

 

森川さん 

「430を取るために、法律を守るために仕事が1個増える。休むために、休みがなくなる」 

 

 運転開始からおよそ45分。体力的にはまだ休憩は必要がない。しかし序盤の間に休憩しておかないと、駐車する場所が確保できないという。 

 

 時には、こんなこともあるという。 

 

森川さん 

「とまる所がないから、もう路頭に迷って、結局とめられるところを夜な夜な長時間探し回って寝る時間が一切なくなって、もうヘトヘトの状態で次の日の仕事がスタート」 

 

 運転開始から1時間15分、次のパーキングエリアに到着した。 

 

森川さん 

「あ、いけそう。ここにとめて30分休憩します」 

 

 なんとか駐車できるスペースを発見。 

 

森川さん 

「4時間経つ前に休憩しなきゃっていうので、仕事もそれに合わせて動いたりとか、なかなかスムーズにいかなくなったりとか、まあ難しいですね。実際、疲れていないタイミングもあるので」 

 

 トラックドライバーを悩ませる「待機場所問題」と「430休憩」。路上駐車していたドライバーたちは、次のように話す。 

 

ドライバー 

「(Q.違法駐車というのは分かっている?)分かってる、分かってる。別の場所にとめたら、もっと迷惑かかるし、そういうもんちゃうかな。仕方ないもん」 

「4時間でとまらなあかんという法律決めとる以上、無理や。たぶん全国の大型トラックのドライバーさん、皆困ってる。無駄に4時間で30分休憩という法律があるから絶対に無理やし」 

 

 小さいころから大型トラックが大好きだったという森川さんは、このように話す。 

 

「法律が厳しくなって稼げなくなって。自分らのために作られた法律が、自分らの首を絞めてるみたい。むしろ仕事がやりにくくなっている気がする」 

 

(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年9月5日放送分より) 

 

テレビ朝日 

 

 

 
 

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