( 323186 )  2025/09/10 05:02:52  
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「ふるさと納税」の利用者が1000万人を超え、2024年度の受入額が過去最多の1兆2728億円に達する中、ポイント還元が10月から禁止されることになりました。

これに伴い利用者の駆け込み申請が予想されます。

元々この制度は、寄付を通じて地域を支援するものでしたが、仲介サイトでのポイント獲得が重要視され、「本来の目的から逸脱している」との批判が強まっていました。

今後は、ポイントではなく地域体験型の返礼品を通じ、自治体と利用者の関係を深める方向性が模索されています。

利用者は、実際に地域を訪れ、直接体験することが重要との意見も出ています。

(要約)

( 323188 )  2025/09/10 05:02:52  
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利用者が1000万人を超える「ふるさと納税」。実は、今月いっぱいで仲介サイトなどが独自に行っている「ポイント付与」が禁止になります。これを受け、利用者の“駆け込みラッシュ”も予想されています。 

 

■10月からポイント還元禁止 変わる「ふるさと納税」の常識 

 

高柳光希キャスター: 

ふるさと納税は自分が応援したい自治体やふるさとなどに寄付をすることで、住民税の減額(控除)や、所得税の払い戻し(還付)などが受けられる制度です。 

 

導入は2008年、利用者は右肩上がりで、2024年度の利用者は1080万人、ふるさと納税受入額は過去最多の1兆2728億円となりました。 

 

タレント・俳優 青木さやかさん: 

私も昨年から利用しています。地元のお肉や、私はまだ利用していませんが、お墓の掃除代行、お墓に一緒に行ってくれる代行みたいなのもあるそうです。 

 

井上貴博キャスター: 

(ふるさと納税を)やらないと損をした気分になるというか、理解している人が得をする、理解していない人が損するという感じがします。 

 

高柳キャスター: 

ふるさと納税が10月から大きく変わります。 

 

今までは、仲介サイトごとに、独自のポイント還元キャンペーンなどを行うことができました。「楽天」や「さとふる」では条件付き、「ふるさとチョイス」や「ふるなび」では抽選ではありますが、それぞれに還元キャンペーンを行うことで、しのぎを削ってきたという側面がありました。 

 

しかし9月をもって、それが最後になるということで、利用客の駆け込みラッシュが予想されています。 

 

TBS報道局経済部 室谷陽太記者: 

ポイント還元禁止の背景として、そもそもふるさと納税自体が、ふるさとや応援したい自治体に寄付をするという制度として始まった。しかし結果的にサイト同士のポイント合戦の様相を呈し、本来の目的とはかけ離れた実態になっているという声が上がっていることにあります。 

 

私が取材した総務省の幹部は『ふるさと納税の仲介サイトが、ショッピングサイトみたいになっている』といった声、また一部の自治体からは『仲介サイトに頼って自治体をアピールしたいけど、手数料が高すぎる』といった声も聞かれます。 

 

 

ふるさと納税の総額のうち、全体の53%が各自治体の財源となっているのですが、実は仲介サイトに支払われている額も13%を占めていまして、自治体から『財源をもっと増やしてほしい』といった、切実な声が聞かれているのです。 

 

高柳キャスター: 

ただ、今回のポイント還元禁止に関して、各所から反発の声も上がっています。 

 

例えば、ふるさと納税の仲介サイト市場は、今まで楽天が6割のシェアを占めていましたが、その楽天から総務省に対して訴訟が起こされています。 

 

また自治体側からの声として、かつて大阪・泉佐野市が返礼品にAmazonギフト券を設けていたことで、総務省から行政指導が入ったことを皮肉るように、先週末、街中で「もうええで省」と書かれたタオルを配布した事案がありました。 

 

そして利用者からも不満の声が上がっています。ポイント還元の禁止に戸惑いの声が出ており、街の取材でも、「禁止に賛成の人はほとんどいなかった」「10月に申請すると損した気分になってしまう」という声がありました。 

 

室谷記者: 

特に人口が減少傾向にある自治体にとっては、「頑張れば増やせる」ふるさと納税は、非常に重要な税源となっています。 

 

ただ一方で、私自身、利用者側に立ってみると、ショッピングサイトの感覚で利用しており、応援したい自治体から選んで、その返礼品を受け取るという本来の形になっていないというのが実態ではないのかと思いました。 

 

そういう状況を見ると、ふるさと納税とは結局、何のための制度であるかということを考えなければならないと思います。 

 

■返礼品は「現地で体験」? ふるさと納税の魅力を原点回帰させるために 

 

高柳キャスター: 

ではこの先、ふるさと納税はどういう方向に業界が進んでいくのか。 

 

例えば返礼品を魅力的にするという点で、地元ガイドが案内する体験型ツアー、モータースポーツレースの開催期間に自分のラジオ番組が放送されるもの、フライトシミュレーター体験と格納庫見学など、利用者自身が体験できるスタイルをとっていく自治体も多くなっているということです。 

 

 

出水麻衣キャスター: 

そうすると、利用者自身がその自治体に足を運ぶということですから、その際のお食事代など、現地にお金を落とすということにも繋がる施策ですね。 

 

高柳キャスター: 

このようにポイントではなく、返礼品の差別化で、各自治体と競争していく方向なのですかね。 

 

室谷記者: 

やはり応援したい自治体に実際、足を運んで色々な形で現地を体験をすることで、その自治体についてすごく理解が深まりますし、また宿に泊まったり食事をしたり、さらに現地へお金を落とすことも、自治体応援の一つの形になると思います。 

 

ふるさと納税の利用者は1000万人以上というところで、かなり広まってきたフェーズだと思います。その意味で、これからさらに利用者と自治体の双方にとって、もっと効果的で魅力的な制度にするにはどうすればいいのかを考えていく段階なのではと個人的に感じます。 

 

井上キャスター: 

ふるさと納税の開始当初、一極集中だった税の分配に向けて、利用者自身が好きな故郷に払えるという理念がすごく良かったと思います。 

 

ポイント付与も、ある程度は利用者を広めるためには大事だったのかもしれないですが、もう一度理念に立ち戻るという意味で、仲介サイトを見ても、返礼品の商品名に比べて、自治体名がすごく小さい点を解消し、やはり自治体名を大きくすべきだと思います。 

 

その意味で、青木さんがおっしゃっていたように、返礼品としてのお墓参り同行、お掃除代行なども含め、どんどん広めていくという時期に入ってるのかもしれないですね。 

 

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<プロフィール> 

室谷陽太 

TBS報道局経済部 総務省・IT通信担当 

最近のふるさと納税返礼品は「肉とビール」 

 

青木さやかさん 

タレント・俳優 高校生の娘の母 

ギャンブル依存・肺腺がん闘病の経験も 

 

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