( 323386 )  2025/09/11 03:57:06  
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石破茂首相が自民党総裁を辞任し、次期総裁選が「フルスペック方式」で行われることが決定した。

候補者として小泉進次郎、高市早苗、茂木敏充などが名を挙げており、特に小泉氏と高市氏が注目されています。

前回の選挙では高市氏が強さを示したが、今回の状況では彼女の支持基盤が揺らいでいるとも言われています。

麻生太郎最高顧問の影響力が選挙結果に大きな影響を与える可能性があり、小泉氏に接近している様子が伺えます。

総裁選の結果は政局にも影響を及ぼすと見られています。

今後の展開に注目です。

(要約)

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麻生太郎最高顧問 

 

 参院選での大敗から49日、宰相の座にとどまり続けていた石破茂首相(68)が退陣を表明した。「フルスペック型」で行われるという総裁選の行方は……。 

 

 *** 

 

 9月7日、東京・永田町の首相官邸は朝からただならぬ空気に包まれていた。午前中から首相秘書官らが慌ただしく駆け付け、午後には岩屋毅外務相(68)や赤澤亮正経済再生担当相(64)らが官邸に入ったことで、緊迫感は最高潮に達した。午後3時過ぎ、NHKと朝日新聞が相次いで「退陣の意向」を速報。それから3時間後、官邸で急きょ記者会見は開催されたのである。 

 

 冒頭、石破首相が紅潮した面持ちで、 

 

「自民党総裁の職を辞することとした。臨時総裁選挙の手続きを実施するよう森山幹事長に伝えた」 

 

 そう述べて、正式に辞意を表明。続けて、 

 

「かねてより“地位に恋々とするものではない。やるべき事をなしたのちにしかるべきタイミングで決断する”と申し上げてきた。アメリカの関税措置に関する交渉に一つの区切りがついた今こそがしかるべきタイミングであると考え、後進に道を譲る決断をした」 

 

 と語った。 

 

 かくして実施されることになった総裁選は、党員・党友が投票する「フルスペック方式」。9月22日告示、10月4日投開票の予定である。 

 

 フルスペックの1回目の投票では、約100万人の党員票が党所属の国会議員票と同数の295票に換算される。これに議員票を加えた計590票の過半数を獲得すれば「勝者」となるが、1回目で過半数を得る者がいなければ上位2名が決選投票で雌雄を決することになる。 

 

 目下、総裁選の候補者として名前が取り沙汰されているのは小泉進次郎農水相(44)、高市早苗前経済安保相(64)、小林鷹之元経済安保相(50)、林芳正官房長官(64)、茂木敏充前幹事長(69)の五名。茂木氏は8日、いち早く総裁選出馬の意向を表明している。 

 

 政治部デスクの解説。 

 

「総裁選の軸となるのは、世論調査の『次の首相にふさわしい人物』でも、それぞれ約2割の支持を集めている小泉氏と高市氏です」 

 

 前回、1回目で小泉氏は党員票が伸び悩み61票だった。強いとみられていた議員票は75票。合計136票で3位に沈んでいる。一方、高市氏は党員票で事前の予想を大きく上回る109票を集めて世間に驚きを与えた。議員票でも健闘して72票。合計181票で、1回目はトップに躍り出た。それゆえ巷間、フルスペックなら高市氏有利との声もある。 

 

 

 ところが、だ。 

 

「今般、自民党員の中でも特に高市氏が支持基盤としてきた右派・保守層はすでに党籍を離れ、参政党や日本保守党に流出しているといわれている。また昨年は、反石破票が高市氏に集まった側面は否めない。今回は前回ほど党員票の得票は期待できないかもしれません」(前出のデスク) 

 

 政治ジャーナリストの青山和弘氏はこう言う。 

 

「石破首相は出馬しないので、首相が獲得した党員票が流れれば、小泉氏が高市氏を抑えて党員票で首位に立つ可能性もあります」 

 

 前回は9名の候補者が乱立した結果、各候補者の20名の推薦人だけで当時、367票あった議員票のうち180票が食われた。9名で残りの187票を分け合った形だ。当然、1回目は議員票で大きく差がつかず、党員票が勝負を決した。だが、今回は前回より候補者が少ないとみられている。その分、奪い合う議員票は多くなる。 

 

「つまり、前回よりも議員票が結果に与える影響は大きい。しかし今回も支持が分散し、1回目で勝負が決まらない可能性はある。その場合、高市氏と小泉氏が決選で争う展開になりそうです」(前出のデスク) 

 

 決選になれば、議員票と各都道府県連票の合計で勝敗が決するので、なおさら議員票の重要度は増す。 

 

 その議員票の行方について鍵を握るのは党の重鎮だ。菅義偉副総裁(76)や森山裕幹事長(80)は前回同様、小泉氏の支援に回るものとみられているが、特に今、注目を集めている人物がいる。麻生太郎党最高顧問(84)である。裏金問題を受けて、他の派閥が解散する中、麻生派だけはなおも派閥を維持している。麻生派43名をバックにつけることができれば、一気に有利になろう。 

 

 先のデスクが言う。 

 

「参院選直後から茂木氏は何度も麻生氏と会談・会食を重ねていますし、高市氏も麻生氏と7月中に面談して、支持を取り付けようと動きました。小泉氏も8月6日、国会内で30分以上、麻生氏と話し込んでいます。各候補、麻生氏の歓心を買おうと躍起なのですが、麻生氏が今、一番、買っているのは小泉氏です。麻生氏は小泉氏が直接、頭を下げに来たことに相当気を良くしているのです」 

 

 高市氏が小泉氏に比べて、議員票で不利な点はほかにもある。 

 

「高市氏は昨年の推薦人20名のうち、実に9名が直後の衆院選や今年の参院選で落選・不出馬となっています。もっとも、推薦人20名のハードルはクリアできる見込みです」(同) 

 

 次のような話も。 

 

「高市氏が頼みの綱としているのは旧安倍派なのですが、旧安倍派はすでに瓦解し一枚岩ではありません。少なくない中堅・若手は小林氏の支持に回るものとみられています」(同) 

 

 現在の状況を総合的に勘案すると、総裁選レースのトップを走っているのは小泉氏で間違いないように見える。だがしかし、このまま順調に勝ち切れるかどうか、疑問視する向きもあるという。次期衆院選も見据え、駆け引きが行われる総裁選の行方については、9月11日発売の「週刊新潮」で詳報する。 

 

「週刊新潮」2025年9月18日号 掲載 

 

新潮社 

 

 

 
 

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