( 323536 )  2025/09/11 06:50:25  
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63歳独身者が相続人がいない場合、亡くなったときに持っている「貯金2500万円」を国に没収される可能性がある。

相続人がいない場合、財産は法律に基づいて、相続財産清算人の選任、相続人捜索の公告、債権者・受遺者への弁済、特別縁故者への財産分与を経て、最終的に国庫に帰属する。

財産を国庫に帰属させない方法として、特別縁故者への財産分与、遺言書の作成、生前贈与が挙げられ、それぞれ手続きが必要。

財産の行き先を明確にするためには、専門家に相談しながら計画を立てることが重要です。

(要約)

( 323538 )  2025/09/11 06:50:25  
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63歳独身です。相続人がいない場合、亡くなったら「貯金2500万円」は国に没収されてしまうのでしょうか? 

 

近年、生涯未婚率の上昇を背景に増加する独身者。亡くなった際の財産の行方について、漠然とした不安を感じているかもしれません。 

 

最終的には「国のものになってしまう」という話を聞いて、どうすればいいのか迷ってしまうこともあるでしょう。この記事では、相続人が一人もいない場合財産はどうなるのか、相続手続きの流れなどについてまとめました。 

 

まず、法律上の「相続人」とは誰なのかを確認しましょう。民法では、亡くなった人(被相続人)の財産を相続できる人の範囲と順位が定められています。 

 

・常に相続人:配偶者 

・第1順位:子(子が亡くなっている場合は孫) 

・第2順位:父母(父母が亡くなっている場合は祖父母) 

・第3順位:兄弟姉妹(兄弟姉妹が亡くなっている場合は甥・姪) 

 

これらの法定相続人が一人もいない、あるいは全員が相続放棄をした場合、残された財産は法律に定められた手続きを経て、最終的な行き先が決まるとされています。 

 

さまざまな手続きを経てもなお、引き取り手のいなかった財産は、法律的には「国庫に帰属する」ことになります。これは、最終的に国のものになるということです。 

 

統計によれば、相続人がいないなどの理由で国庫に入った遺産は年々増加傾向にあるといわれています。独身者が増えている現在、相続の問題は社会的な課題となっているといえるでしょう。 

 

国庫に帰属するまでには、以下の手続きが必要といわれています。 

 

1.相続財産清算人の選任申し立て 

債権者(亡くなった方にお金を貸していた人)や検察官などの利害関係者が家庭裁判所に申し立てを行い「相続財産清算人」が選任されます。一般的には、清算人には弁護士が選ばれます。 

 

2.相続人捜索の公告 

相続財産清算人は、本当に相続人がいないかを探すため、官報(国が発行する新聞のようなもの)に相続人がいないかについて、公告を出します。 

 

3.債権者・受遺者への弁済 

次に、債権者や、遺言によって財産を受け取る約束をしていた人(受遺者)がいないかを確認し、該当者がいれば残された財産から支払いや遺産の引き渡しを行います。 

 

4.特別縁故者への財産分与 

相続人はいないものの、亡くなった方と特別な関係にあった「特別縁故者」が名乗り出た場合、家庭裁判所の判断によって財産の一部または全部が分け与えられることがあります。 

 

5.残余財産の国庫帰属 

上記の1から4までの手続きをすべて終えても、なお残った財産があった場合、その財産は最終的に国庫に帰属することになると考えられます。このように、法律は相続人がいない財産について、段階的かつ慎重な手続きを定めているのです。 

 

 

貯金2500万円を国庫に帰属させず、望む形で遺すために生前にできる対策は、大きく分けて3つあります。 

 

■特別縁故者への相続財産分与 

法定相続人ではないものの、生前に特別な関係にあった人がいる場合、その人を「特別縁故者」として財産を渡すことが可能です。 

 

特別縁故者として認められる可能性があるのは「被相続人と生計を同じくしていた人」「被相続人の療養看護をしていた人」、のほか被相続人と特別の縁故があった人などです。 

 

例えば、事実婚の妻や夫、事実上の養子・養親、献身的に介護や看病をしてくれた親族や友人などが該当すると考えられます。そのほか、長年にわたり親密な交流があった友人や、経済的な支援を受けていた人など、特別なつながりがあった場合なども、特別縁故者として認められる可能性があるでしょう。 

 

特別縁故者が受け取った財産は「遺贈」とみなされ、相続税の課税対象となります。さらに、配偶者や一親等の血族以外の人が財産を受け取るため、相続税額が2割加算される点にも注意が必要です。 

 

■遺言書の作成 

財産の行き先を、自身の意思で確実に決めるための有効な手段が遺言書の作成です。遺言書があれば法定相続人がいない場合でも、遺贈する相手を自由に指定できます。遺言書にはおもに「自筆証書遺言」と、公証人が作成する「公正証書遺言」があります。 

 

独身の場合、死後に遺言書の存在が誰にも気づかれないという事態を避けるためにも、可能ならば信頼性が高い公正証書遺言をする方がいいかもしれません。 

 

■生前贈与の検討 

生きているうちに、自身の意思で財産を少しずつ渡していく「生前贈与」という方法もあります。しかし、生前贈与は、年間110万円の基礎控除額を超える贈与には贈与税が課されるなど、税金の問題が絡んでくる点には注意が必要でしょう。 

 

独身で2500万円の貯金がある場合、もしものときに備えておくべきことは「意思表示」です。何もしなければ法律の規定にのっとって処理され、最終的に国庫に帰属する可能性が高いと考えられます。もし、国庫に入ることを避けたいのであれば、財産を自身の死後どうするのかについて決めておくことが必要です。 

 

必要であれば弁護士や司法書士といった専門家に相談しながら、自身の財産を誰に、どのように遺したいのかを考えておきましょう。 

 

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 

ファイナンシャルプランナー 

 

ファイナンシャルフィールド編集部 

 

 

 
 

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