( 324181 )  2025/09/14 03:53:34  
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静岡県伊東市の田久保眞紀市長が、自身の学歴詐称疑惑を背景に市議会を解散した。

田久保市長は、不信任議決が出されたことが解散の理由とし、一方的に会見を終了。

しかし、その後のインタビューで、議会の進行が市民生活に影響を与えることを懸念した。

彼は市政改革の進展を妨げる勢力が存在し、自らの支持者が市議選に立候補することを望むと述べた。

その一方で、議会内の多様な意見が重要だという観点も示し、市議選後の展望については状況次第とした。

改革の障害については、過去を振り返り現状を変えたい力が働いていると考えを述べた。

(要約)

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取材に応じる田久保市長(写真は8月13日のインタビュー時に撮影) 

 

静岡県伊東市の田久保眞紀市長(55)は、自身の学歴詐称疑惑を発端とする問題で対立した市議会を9月10日に解散し、市政はますます混迷の度合いを深めている。解散直後、田久保市長は1日の定例議会初日に自分に対する不信任議決がなされたことが解散の理由だと話し、一方的に記者会見を打ち切った。そこで集英社オンラインが詳しい説明を求めたところ、解散翌日の11日、市内にてインタビューに応じ、「自分の当選で進んだ改革をなかったことにしたい力が働いている」などと主張した。田久保市長の主張を正確に伝えるため、一問一答形式で報じる。  

 

――市議会の何が問題だと考えているのですか? 

 

9月議会がしっかり審議されることに期待しましたが、初日に不信任案が出され、しかも(可決後に)休会し、私が辞めれば再開するとの報道もありました。それはちょっと違うかなと。 

 

私への不信任や政局の争いと議会(審議)は別のものとして進めていただきたかった。もちろん私も市民に迷惑をかけ市政が混乱したこともたくさんありますが、議会がこういう理由で止まるのは本当にダイレクトに市民生活に影響が出ます。 

 

初日に議会が止まることはもう少し議論があったらよかった。そういう意味ではもう少し多様な意見をもった議員が議会に入り市政を進めていくことが大変重要じゃないかなと思っています。 

 

――初日の不信任議決を理由に挙げますが、市長の支持者は8月下旬には「9月10日に解散し10月19日に出直し市議選を行なう」と市長から聞いています。どうしてですか。 

 

たぶん(不信任議決から)10日以内に解散か辞任(失職)を決めなきゃいけないので“10日”というのが走ってるんじゃないかと。10日というのと、私が解散する意志なんだろうというの(支持者の推測)と、そういうところだったんだと思います。 

 

――市長から何か言ったわけではない? 

 

(決断の期限は9月)11日でしたが、私も民間で仕事していたときの癖もあり、あまりギリギリより1日くらい余裕を見ておいたほうがトラブルがあった場合にもいいですし、(9月)10日ってキリもよかったですし、それで出そうかなって。 

 

(支持者の中では)たぶん10日間のうちに私が決めなきゃいけないというのと、今の市議会であれば解散一択だろうというのが一緒に合わさったんじゃないかと思うんですけどね。 

 

 ――解散は市長を支持する市議を増やし次の不信任案を採決できない状況をつくる延命措置では? 

 

それは結果論ですし、議会と市長は二元代表制で、新しい方が市議になっても議員さんは政策ごとに是々非々で進めておくことがこれからの地方政治では大事だと思います。私が右と言えば右を向く議員を増やしたいと思われてるのなら、私の思いとは違います。 

 

 

――市長支持者の中から7人が市議選に出るとの声もあります。 

 

テクニカルに7人いれば(採決を棄権することで)私の不信任が防げるからというところから始まっていると思いますが、私としては“自分こそが伊東の市政を変えていくんだ”って人の手があがることを願ってます。 

 

――“田久保党”のように市長が旗振りすることはない? 

 

私の選挙を応援してくれた人の中から手があがることも考えられますから、その場合はもちろん応援したりはありますけども。 

 

私も市議の時代には反対賛成は自分で決めていました。党派とか会派(の拘束)で仕方ないんだ、なんてことになれば地方政治の衰退ですよね。だから自分の考えで反対賛成を決める議員さんが1人でも多く出ることが重要かなって思います。 

 

――市議選にどう関わるつもりですか? 

 

もう少し違う方向性で市政が進んでいくことに非常に期待しています。改革が進むためにはやっぱり今の状態では進まないんじゃないかということで解散の決断をさせていただきました。私としては皆さんに、代表として選ぶのにどなたがふさわしいのか選んで選挙に行っていただきたい。 

 

――今の市議会では改革が厳しいと? 

 

今の市議の方がどう考えてるかは私が言うべきではないですが、自分が市議もやった立場で言うなら、ひとりで反対をするとか、周りの全員と違う意見を言うというのはとても勇気のいることです。もっといろんな意見があって然るべきというときもあるし、自由に意見を言えること、「それは間違っているんじゃないか」って言えることは非常に大事だと思います。 

 

伊東の課題でもありますが、それにはもう少し今全体に漂っている空気が変わらないとなかなか自由に言えないと思います。そういった空気がまだまだあるので、この機会にまず議会のほうから新しい風が入っていくといいなって思います。 

 

――市議選後に再度不信任案が可決され失職したら、また市長選に出ますか。 

 

状況によりけりだと思います。私の代わりに改革の意志を継いで闘い抜ける方が出てくれば、それはまたそのときに考えなきゃいけないことだなと思います。 

 

ただ、やっぱり今までの状況を見てても相当厳しい現実で、「改革を成し遂げるために絶対に折れないぞ」っていう意志も必要だし、ある程度知識もないといけないです。突然入って右も左もわからない状態ですと、なかなか今の状況を変えるというのは難しいでしょう。 

 

――改革が厳しいという一番の理由は何ですか? 

 

やはり「変えたくない」「変わりたくない」という勢力ですよね。私が市長になったことで一歩前に進んだ改革をなかったことにしたい、元に戻したいっていうような力が働いているんじゃないかって私は思っているので。 

 

――市長選までもつれこめば市政は年明けまで安定しないことも予想されます。この状況をどう思いますか? 

 

長らく続いたものが変わるときですので、なかなかそう簡単にスパンといかない部分もあるかと思います。もう少しスムーズにパッと変わるんじゃないかって期待感がたしかにあったと思いますが、現実にはまだまだ変えていかなきゃいけないところがあります。 

 

※ 

 

学歴詐称と隠蔽疑惑の解明を進めた市議会との対立を“改革派と抵抗勢力の闘い”だと主張する田久保市長。 

 

後編では疑惑に絡む見解を質した。 

 

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班 

 

集英社オンライン編集部ニュース班 

 

 

 
 

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