( 325681 ) 2025/09/19 08:08:21 1 00 福岡の郷土料理「ゴマサバ」は、新鮮なサバの刺身を甘めの醤油だれとごまとネギで和えたもので、観光客に人気ですが、現在、寄生虫のアニサキスの影響で提供を中止する店が増えています。 |
( 325683 ) 2025/09/19 08:08:21 0 00 RKB毎日放送
博多名物の「ゴマサバ」。新鮮なサバの刺身を、たっぷりのごまとネギをきかせた甘めの醤油だれで和えた福岡の郷土料理です。地元のみならず観光客にも人気ですが、今、提供をやめる店が出ているといいます。
原因は、寄生虫のアニサキス。海水温の上昇で、これまで福岡の近海にはいなかったサバが生息するようになったとみられています。
2015年わずか4件だった福岡県のアニサキスによる食中毒は、ここ数年で10倍前後にまで増加しました。異常気象の影響が食文化にも及んでいます。
■「めちゃおいしい」観光客が感動する福岡の郷土料理
福岡名物の一つゴマサバ。
関東をはじめ太平洋側では、サバにはアニサキスという寄生虫がいるため生で食べることはありません。
ゴマサバや刺身などサバを生でいただく福岡の食文化は観光客にとっては驚きです。
観光客「おいしい、めちゃおいしい」
Q.生のサバを食べることって?
観光客「ないですね」
RKB 馬場遼之介記者 「それではゴマサバをいただきたいと思います。うーん、身がコリコリしていてとってもおいしいです」
■料理人が感じる異変「これまではなかったのに・・・」
しかし今、観光客にも人気の福岡のサバ料理に異変が起きています。
まんぷく屋 大名店 鶴丸正人代表 「ここ何年かでアニサキスが多くなって、普通はお腹にしかいないのに、身にアニサキスが入っていたり、ということが多くなりましたね」
まんぷく屋 大名店 上野剛店長 「身の方にアニサキスがいる時もありますよ、増えましたね」
■アニサキス、なぜ増えた?
実は福岡をはじめ日本海側のサバにもアニサキスがいないわけではありません。
食用にする身の部分にはほとんどいないものの内臓には潜んでいるタイプで、太平洋側のアニサキスとは種類が違います。
国立感染症研究所 杉山広 客員研究員 「太平洋側にたくさんいると言われていたS型、アニサキスシンプレックスというのは、内臓だけにいるのではなくて筋肉にも入る性質が強いんですよ。一方、日本海側にいるアニサキスペグレフィーというのは、ほとんど内臓にしかいないんです」
■太平洋のサバが日本海に入ってくるようになった
これまで、太平洋側と日本海側で別の種類のアニサキスが寄生していたサバ。
ところが海流や海水温の変化によって太平洋側のサバが日本海側に入ってくるようになり、身にアニサキスがいるサバが増えたとみられます。
国立感染症研究所 杉山広 客員研究員 「海流の流路の変化や海水温の上昇で、津軽海峡を越えて太平洋から日本海に入ったサバがいるんだろうと思います。その日本海に入ったサバ、S型のアニサキスにかかっているサバが、富山の西あるいは南、福岡の方角まで行っているのではないか」
■アニサキスによる食中毒が増加
サバの刺身やゴマサバが自慢の福岡ですが、アニサキスによる食中毒が増加しています。
2015年にわずか4件だったアニサキスによる食中毒は、2023年51件に、2024年は29件と、この3年は全国のおよそ1割を福岡県が占める事態が続いています。
■生サバ「何かあったら怖いんで出してない」店も
このため生のサバの提供を止めた店もあるということです。
まんぷく屋 大名店 上野剛店長 「生で出せるけど、『何かあったら怖いんで出してないです』っていう店も何軒かありますね」
食中毒を防ぐためこちらの店はブラックライトを当てて1枚1枚肉眼でアニサキスの有無を確認しています。
まんぷく屋 大名店 上野剛店長 「きょうのは大丈夫そうです。サバはね楽しみにしている方もいっぱいいらっしゃるので、うちでは細心の注意を払いながらというところまでは提供していきたい」
■アニサキスによる食中毒 日本海側・富山や福井でも増加傾向
アニサキスによる食中毒は福岡と同じ日本海側の富山や福井でも増加傾向で専門家はこれからも注意が必要だと話します。
国立感染症研究所 杉山広 客員研究員 「海水温の上昇や海流の流路の変化を介して、S型のアニサキスが寄生したサバの流入が起こってきている可能性が高いので、これからもっと注意する必要があるのではないか」
刺身やゴマサバなど生や生に近い状態でサバを食べる文化が根付いてきた福岡。海水温の上昇がもたらす危機が食文化にも迫っています。
■「アニサキス」による食中毒を予防するには・・・
「アニサキス」は、サバ、アジ、サンマ、カツオ、イワシ、サケ、ヒラメ、マグロ、イカなどの魚介類に寄生します。
厚生労働省は ・魚を購入する際は、より新鮮な魚を選ぶこと ・丸ごと1匹で購入した際は、速やかに内臓を取り除くこと ・内臓を生で食べないこと ・目視で確認して、アニサキスを除去すること を呼びかけています。
また、一般的な料理で使う酢での処理、塩漬け、醤油やわさびを付けても、アニサキスは死滅しないので注意が必要です。
RKB毎日放送
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