( 325733 ) 2025/09/20 03:16:43 0 00 元迷惑系ユーチューバーで奈良市議のへずまりゅう氏(34)が9月12日の定例市議会中に、仲川げん市長に「どのツラ下げて」などと怒鳴りつけたとして、大西淳文議長は18日、へずま氏と面談し、議員として礼節を重んじるよう口頭で注意した。
へずま氏の言動を巡って問題となったのは「議会の品位」。各地方議会は議会規則などで品位を重んじるよう規定しており、違反したとして議員が処分や注意を受ける事例も相次ぐ。ただ、議会での品位とは何か。具体的な内容が定められているわけではない。専門家は「議会では住民の代表として規範となるような行動を示す必要がある」としている。
「議会の品位」という言葉は、昭和31年に全国市議会議長会が制定した「標準市議会会議規則」に「議員は、議会の品位を重んじなければならない」として盛り込まれた。その後、各地方議会でも同様の議会規則が定められた。
だが、議長会が具体的な品位の内容について定めているわけではなく、担当者は「それぞれの議会で判断するのが望ましい」と話す。
さらに、議会での品位や秩序を乱すような行為は、地方自治法に基づき、懲罰の対象となるケースがある。同法129条では、秩序を乱す議員に対して、議長が制止したり発言を禁止したりできると規定。同法132条では、議員が議場や委員会で無礼な言葉や他人の私生活に関する言論をしてはならないと定めている。
大正大の江藤俊昭教授(地方自治)は今回のへずま氏の言動について「日常的な議論の場でも一方的に叱責するのは威嚇行為やハラスメントにあたり、議会のような公開の場でそれに準ずることをするのは問題がある」とし、同法132条違反に当たり、その場で議長の注意も必要だったと指摘。「議会はあくまで政策を議論する場。建設的な議論にするには冷静に自分の意見を述べるべきだ」と話した。
議会の役割や議員の責務は、それぞれの自治体の議会基本条例や政治倫理条例、ハラスメント防止条例などで定められている。江藤教授は「議員は常にそうしたものを確認する必要がある」と強調。「住民代表として規範となるような行動を示した上で、自治体の監視機能や政策提言機能を発揮することが、議員としての品位につながる」とした。
議会での品位が問題となった事例は過去にもある。熊本市議会では平成30年、請願をめぐる質疑をした際に喉あめをなめていた市議に対し、「議会の品位」に関する議会規則に抵触したとして、懲罰動議が可決。市議は謝罪を拒んだため、出席停止処分を受けた。
大分市議会では25年、覆面レスラーの市議が覆面姿での議員活動を求めたが、市議会運営委員会は同様の議会規則を理由に認めなかった。令和5年には奈良県宇陀市議が議場で不適切な発言をして問題に。今年に入ってからは、昨秋の兵庫県知事選を巡り不適切なSNS投稿を繰り返し、議会の品位と名誉を害したなどとして、同県姫路市議会が市議に2度にわたって辞職勧告を決議した。
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