( 328851 )  2025/10/02 06:48:36  
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SNSで公開された市議会議員の議員報酬が話題となり、高額な所得税が注目されています。

議員報酬は59万6000円で、その所得税が19万4800円という額でしたが、これは議員だから特別に所得税が高いわけではなく、源泉徴収の計算方法や特定の手当ての有無によるものです。

源泉徴収は概算で差し引かれるため、月によって税額にばらつきが生じることがあります。

また、扶養控除の未申告が影響し、高率の税率が適用されることも考えられます。

結局、年末には調整が行われ、過剰に納付した税金は還付される仕組みです。

税の仕組みを理解することが大切で、明細を冷静に確認し、必要に応じて確定申告を行うことが推奨されます。

(要約)

( 328853 )  2025/10/02 06:48:36  
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SNSで市議会議員が、議員報酬「59万6000円」の明細を公開!→所得税「19万4800円」に“高すぎる”の声が多数…議員だけ「特別に高い」のでしょうか? 源泉徴収の仕組みとは 

 

2025年8月末、SNS上で公開された市議会議員の議員報酬の明細に「所得税19万4800円」とあり話題になりました。59万6000円の報酬に対して所得税額が高額であったため、議員だけ所得税が高いのかと不思議に思った人もいるかもしれません。 

 

結論としては、議員だから特別に税率が高いわけではなく、月ごとの源泉徴収の計算や一時金の有無、扶養申告の状況などでその月だけ高額に見えたということのようです。 

 

本記事では、国税庁の税額表をふまえて、源泉徴収の仕組みを分かりやすく解説します。 

 

前述のとおり、議員だからといって特別に高い所得税率がかかるというようなことはありません。地方議員の報酬は各自治体の条例で決められますが、課税のルール自体は一般的な会社員の給与と同じです。「税率が議員専用に高い」という制度は存在しません。支給額が大きければ累進課税制度により当然差し引かれる額も大きくなる、というだけの話です。 

 

ここでは、源泉徴収の仕組みを3つに分けて解説します。 

 

(1)源泉徴収は「暫定的」に差し引く仕組み 

給与から引かれる所得税は、支払者が国税庁の「給与所得の源泉徴収税額表」の数字をもとに、その月ごとに概算で差し引く仕組みです。年単位の正確な税額を毎月細かく計算しているわけではないため、月ごとの数字だけを見ると過剰に見えることがあります。 

 

(2)一時金や期末手当が入ると、その月だけ税が跳ね上がる 

例えば、期末手当や一時金が支給される月は、その月の課税対象額が大きくなります。その結果、その月の源泉徴収額だけが突出して高く見えることは珍しくありません。 

 

(3)扶養控除等申告書(甲欄)の有無や他給与の存在 

「扶養控除等申告書(甲欄)」という書類を、その年の最初の給与の支払を受ける日の前日までに勤務先(主たる給与の支払を受けている勤務先)に提出していない場合や、その報酬が「二か所目以降の給与」に該当する場合は、税額表の乙欄が適用されることになり、高い税率が適用されることがあります。副収入やほかの収入がある場合には確認が必要です。 

 

 

源泉徴収はあくまで暫定徴収です。12月の年末調整で過不足が調整されますが、医療費控除や社会保険料控除、寄附金控除などは、確定申告によって還付を申請することになります。つまり「一時的に多く引かれても、年単位で清算すれば戻ってくる」という仕組みです。 

 

また、本業以外の収入がある場合にも確定申告が必要になるケースがあります。 

 

今回のケースで考えられるのが、市議会議員が「扶養控除等申告書(甲欄)」を提出していなかったことでしょう。これが未提出だと控除が適用されず、税率が高くなることがあります。 

 

給与所得の源泉徴収税額表の乙欄を見てみると、給与額59万6000円以上59万9000円未満に該当する所得税は19万4800円です。SNSで公開されていた議員報酬に合致していることが分かります。 

 

この場合、翌年の確定申告(還付申告)をすれば納税しすぎた所得税が還付されるでしょう。 

 

数字だけが一人歩きして誤解を生むことはよくあります。今回の「所得税19万4800円」のインパクトが大きかったのは確かです。ただ、税の仕組みを押さえれば説明がつくケースがほとんどです。重要なのは、明細を冷静に読み解き、必要なら確定申告で精算する準備をすることです。 

 

税について調べるのは面倒に感じるかもしれませんが、知っておくだけで不安が減るということもあるでしょう。 

 

出典 

国税庁 「給与所得の源泉徴収税額表(令和7年分)」 

 

執筆者 : 宇野源一 

AFP 

 

ファイナンシャルフィールド編集部 

 

 

 
 

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