( 329106 )  2025/10/03 06:52:11  
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65歳以上でも働くことが一般的になっている日本で、「在職老齢年金」という制度が存在します。

この制度では、年金を受け取りながら働く場合、収入が一定額を超えると年金が減額または一部停止されます。

ある65歳の男性、中野さんは、再就職後に年金が減額される通知を受け取り、驚きと疑問を抱きました。

彼の年金は月約23万円で、再就職先の給与と合わせて支給停止調整額を超えてしまい、その結果、毎月3万円が減額されることになりました。

現状、国はシニアの労働力活用を促進しようとしていますが、この制度の矛盾に対する反発がみられています。

(要約)

( 329108 )  2025/10/03 06:52:11  
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「はぁ?なんで年金が減らされるんだよ…」年金月23万円・65歳会社員、日本年金機構から届いた「まさかの通知」に唖然 

 

長寿時代、「働けるうちは働く」が合言葉のようになっている日本。しかし、65歳を超えても精力的に稼ぎ続けた人が直面する、思わぬ“年金の落とし穴”があります。事例と共に見ていきましょう。 

 

長寿化が進む日本。「人生100年時代、働けるうちは働きましょう」というメッセージを耳にする機会も増えました。60歳で定年を迎えた後は継続雇用で働き、年金受給開始となる65歳をもって退職。そこから老後をゆっくり過ごす――。そんな人生設計を思い描く人も多いでしょう。ところが現実は、65歳を超えても働き続けることが珍しくなくなっています。 

 

厚生労働省「簡易生命表(令和6年)」によると、男性の平均寿命は81.09歳、女性は87.13歳。とはいえ、健康寿命は男性72.57歳、女性75.45歳にとどまります。体力や健康面で比較的問題なく働けるのは、70代前半から中盤あたりまでと考えられます。 

 

また、60歳以上を対象に「何歳まで仕事をしたいか」を尋ねた調査では、65歳くらいまでが25.6%、70歳くらいまでが21.7%、75歳くらいまでが11.9%、80歳くらいまでが4.8%、そして「働けるうちはいつまでも」が20.6%という結果でした(内閣府「令和元年度 高齢者の経済生活に関する調査」)。 

 

年金受給を意識して「65歳まで」と回答する人が多い一方で、それ以降も働きたいと考える人が少なくないことが分かります。 

 

もちろん、経済的理由でやむなく働く人もいますが、健康維持や社会とのつながりを重視して前向きに働き続ける人も多いのが実情です。実際、今の60代は見た目も考え方も若々しく、「まだまだ現役でいける」と考えるのも不自然ではありません。 

 

中野和夫さん(仮名・65歳)も、まさにそうした「若々しい60代」のひとり。リタイアせず、再就職を決めました。しかし、そこには思わぬ落とし穴が待っていました。 

 

中野さんは地方企業で営業として働いてきたサラリーマン。60歳以降、継続雇用に切り替えてからも、長年の付き合いから得たクライアントの信頼で安定した営業成績を維持していました。 

 

社員からの信頼も厚く、65歳が近づいても「まだ引退は早いですよ」と惜しまれる存在でした。趣味も特になく、子どもは独立済み。妻は友人との時間を楽しむ生活を送っており、もしリタイアすれば自分は時間を持て余すのは目に見えていたといいます。 

 

そんな折、人脈を通じて再就職のオファーが舞い込みます。「健康だし、体力にも人脈にも自信がある。自分を必要としてくれるなら力になりたい」と前向きに受け止め、65歳から新しい職場で働き始めました。 

 

ところが、その矢先、日本年金機構から届いた通知に愕然とします。それは、「年金の一部支給停止」の知らせでした。 

 

「はぁ? これは一体どういうことなんだ……」 

 

 

公的年金を受け取りながら給与や役員報酬を得る人には、「在職老齢年金」という制度が適用されます。 

 

名前だけ見ると「特別な年金がもらえる」と誤解しそうですが、実際には「年金が減額・停止される」仕組みです。具体的には、老齢厚生年金の基本月額と給与・賞与などの合計が、支給停止調整額(2025年度は月51万円)を超えた場合、年金の一部または全額が支給停止になります。 

 

中野さんの場合、年金は月約23万円。そのうち老齢厚生年金が16万円。再就職先からの給与(総報酬月額相当額)は41万円ほどでした。 

 

在職老齢年金の停止額は、「(老齢厚生年金の基本月額+総報酬月額相当額-51万円)×1/2」で計算されます。つまり、16万円+41万円=57万円。そこから51万円を引いた6万円の半分=3万円。この金額が毎月減額されることになったのです。 

 

「働いて稼ぐほど、長年積み立てた年金が減ってしまうなんて。なんだ、この仕組みは……」 

 

中野さんは「人手不足だと騒ぎながら、なぜこんな仕組みにしているのか」と首をかしげました。 

 

こうした疑問や違和感を抱く人は少なくありません。国もシニアの労働力活用を前提に、2026年度からは支給停止調整額を62万円に引き上げる予定。対象者を減らし、より働きやすい環境を整える方針です。 

 

中野さんの場合、今の収入のままであれば、来年度からは全額受け取ることができます。ただし、営業成績によってインセンティブが出れば、やはり注意が必要です。 

 

支給停止調整額はその先も見直しされ、最終的に廃止という可能性もなくはありませんが、高収入を得る人はその動向を注視しておくとよいでしょう。 

 

THE GOLD ONLINE編集部 

 

 

 
 

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