( 331236 ) 2025/10/12 05:38:21 1 00 公明党は自民党との連立政権から離脱する方針を示し、高市早苗新総裁と斉藤鉄夫代表が会談を行った後の記者会見で斉藤氏はその理由を説明した。
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( 331238 ) 2025/10/12 05:38:21 0 00 公明党の斉藤代表との会談後、報道陣に答える高市氏
26年間続いた自公連立政権が破綻した。
連立与党の自民党・高市早苗新総裁と公明党・斉藤鉄夫代表が10月10日に会談し、斉藤氏が連立政権から離脱する方針を伝えた。
記者会見で斉藤氏は、こう話した。
「政治とカネに対する取り組みは公明党の1丁目1番地。改革が実現不可能なのであれば、首班指名で『高市早苗』と書くことはできない。自公連立政権はいったん白紙とし、これまでの関係に区切りをつけることとしたい」
斉藤氏は、連立解消の理由として、自民党の裏金問題などの不祥事を厳しく糾弾した。
「(裏金問題は)既に決着済みという姿勢は国民の感情とかけ離れている」 「自民党の不祥事を国民に説明し、応援することに(公明党の)地方議員を含め限界が来ている」
そして、「自民党に企業・団体献金の規制強化を求めたが、十分な回答が得られなかった」ことが決め手となったと話した。
■「一方的に離脱を伝えられた」
これに対して高市氏は会談後、憮然とした様子でこう話した。
「そもそも本日の会談は、公明党のほうで地方の声を聞いた結果についてお伝えをするということだった。公明党からは、政治資金規正法の改正に関する公明党案について、賛否を示すように求められた。党に持ち帰って協議をしたいとお返事すると、一方的に連立政権からの離脱を伝えられた。残念だが、そういう結論になった」
自民党幹部が苦々しげに説明する。
「正直、公明党からノーを突き付けられるとは思っていなかった。なんだかんだと公明党は与党から離れない、国民民主党が連立に入ってもついてくるとみていた。会談後、高市氏が苦渋の表情だったのは、まさに、予期していない答えだったからだ」
自民党の政務調査会で調査役を務めていた政治評論家の田村重信氏はこう分析する。
「自公政権の熟年離婚です。自民党は公明党の嫌がることをいっぱいしてきた。それでも長年、公明党は耐え、自民党の中にもなだめて着地点を見出す仲介役がいた。しかし高市氏が新総裁になって、間に入れる人がいなくなり、公明党も堪忍袋の緒が切れて、熟年離婚という道を選んだのでしょう」
■「組閣となればもっとひどい人事になった」
公明党とのパイプといえば、二階俊博元幹事長、森山裕幹事長、そして菅義偉元首相の名前が挙がる。今回、最後になって高市氏は菅氏を頼ったが、
「さすがの菅氏でも、公明党は激怒しており、とりなすことができなかった」(前出・自民党幹部)
公明党の衆院議員A氏は、高市氏が新総裁になったことに加えて、その後見人でもある麻生太郎副総裁と、幹事長代行となった旧安倍派幹部の萩生田光一氏への不満があったと話す。
「政治とカネの問題の根幹にあるのは自民党の派閥政治です。それなのに、唯一残る派閥、麻生派を牛耳る麻生氏が、事実上の自民党総裁ですよ。高市氏は麻生氏に気遣い、政治とカネの問題を棚上げするどころか、裏金議員を党役員人事で登用するなど、うちの意向を無視した。その象徴が、8月に秘書が裏金事件で有罪となったばかりの萩生田氏の登用だ。高市氏の党役員人事は公明党はいらないというメッセージでしょう。この調子で組閣となれば、もっとひどい人事になったはず」
そして、こう続ける。
「麻生氏と高市氏は公明党ではなく国民民主党との連立に組み替えたいという狙いがあるのが透けて見えた。それでも、過半数には足りないから公明党との連立を続けようとして、不信感はさらに高まった。自民党が政治とカネでよほど譲歩しない限り、連立からの離脱は決まっていました。斉藤氏が記者会見で読んだ原稿も、離脱を前提に練って練り上げたものです」
■「玉木首相」で野党統一の動き
自民党総裁選で勝利した時点で、高市氏が総理の座につくことは確実視されていた。だがそれは自公連立が前提。公明党の連立離脱で、一気に政権交代の可能性すら出てきた。
立憲民主党の安住淳幹事長は「野党詣で」を繰り返している。その席上、首班指名で野党統一候補として、立憲民主党の野田佳彦代表の名前にこだわらず、国民民主党の玉木雄一郎代表の名前を書いてもいいと話しているという。
■かつて非自民連立政権で公明党も一緒だった
立憲民主党の幹部B氏は、公明党が連立から離れたことで、野党と公明党が連立する可能性を指摘する。
「野田代表らうちのベテラン議員は、かつて非自民連立の細川政権で公明党と一緒に与党となり、その後、新進党という同じ党でまとまった関係もある。今も公明党と個人的に親しくしている議員はたくさんいます」
公明党が連立から離脱すると、自民党と国民民主党が連立しても衆参両院で過半数に達しない。だが、野党の立憲民主党、日本維新の会に公明党が加わり、さらに「玉木氏の首班指名」という条件で国民民主党が野党側に乗れば、過半数を超えるのだ。
国民民主党の衆院議員C氏は、まんざらでもない表情で言う。
「自公連立に国民民主党が入って3党連立で過半数をとるという想定だった。しかし、公明党が離脱すると、うちと自民党が連立しても政権がとれる確約がない。それに自民党との連立なら、玉木代表は総理にはなれず、大臣ポストが1つあるくらいでしょう。野党同士で組んで玉木総理が実現するなら、一気に方向転換するかもしれません。それに、自民党は麻生氏と党幹部がベタベタすぎてイメージがよくないし、支持母体の連合からは今も自民党との連立政権は賛同を得られていない」
玉木氏は10日、自身のXにこう書き込んだ。
〈私には内閣総理大臣を務める覚悟があります〉
立憲民主党のB氏はこう話す。
「公明党は長年与党の座にいて経験と知恵がある。首班指名では玉木氏という手もあるが、あっと驚く斉藤氏というカードもある。環境大臣と国交大臣も歴任しており、公明党だって、与党の座を手放したくないはずだ」
田村氏はこう話す。
「自民党は国民民主党との連立交渉を進めようとしているのでしょうが、高市氏が首班指名で総理に選ばれるか、微妙になってきた。玉木氏か斉藤氏かで野党がまとまれば、政権交代もありえます。私もかつて経験しましたが、自民党が下野したときのようなムードになってきた。麻生氏が高市氏の後ろ盾として、公明党を無視して好きにやりすぎたことがまずかった気がします」
(AERA編集部・今西憲之)
今西憲之
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